2.木造3階建のプレカットの 柱・梁 及び 梁・梁 仕口について

プレカット部材は要注意!

現在多くの建物は、プレカット工場で、柱・梁等の材料の長さや仕口を加工します。
もちろん、大工さんが直接加工する場合もあります。

仕口部分は、取り合う部材の大きさにより加工の形状が異なるため、大きな部材が取り付くほど受ける部材の欠損が大きくなる傾向があります。
このため、部材の欠損を考慮した設計が必要になります。

この欠損の詳細については(財)日本住宅・木材技術センターの木造軸組工法住宅の横架材及び基礎のスパン表や木造軸組工法住宅の許容応力度設計の本に記載されております。

安全側の欠損を考慮して決めていますので、各プレカット会社の仕口の形状図があればもっと経済設計が可能になります。
確認申請を受け付ける民間機関や市役所などの行政機関の指導内容を見ると、欠損断面の指導について積極的でないところが多く見受けられます。

とても無責任な感じを受けますが、各プレカット会社の仕口の形状図を持っていないのと、仮に持っていたとしても取り合いの種類が多いため、特に民間機関では、今の申請料金の中で確認するのが難しいのだと思います。

実際、全て20%程度の欠損で確認をおろしている確認申請機関もあります。
部材の取り合いにより55%から65%も欠損する梁部材箇所の多くある建物も珍しくありません。
今までの対応を見ると、確認申請機関には、この内容をよく分かっている方がかなりいると思います。

また、上記の理由ばかりでなく、最低の基準しか書かれてないのが建築基準法なのですが、これには欠損断面を考慮して設計するように書かれていないとか、プレカット会社が使用するメーカーの機械により仕口の加工が決まっているのを承知のうえで、設計者がプレカット会社に設計した仕口の内容を知らせるべきだという方もいるのです。
一見正論のように聞えますが、実際にはプレカット会社に設計した仕口の内容を知らせても、変更するのは上記の理由で難しいのです。
仕口の形状を確認すると大変なので触れたくないのだと思います。

何と言っても、検討しない設計者が悪いのですが、具体的な検討をしない設計者は、問題が生じた場合には確認申請がおりているということで、申請機関の責任にすると思いますし、また、確認申請機関は、設計者責任にすると思います。

以前に20%の欠損で確認をおろしている民間確認申請機関の構造の責任者の方に確認したところ、“他の申請機関も同時に同じ指導してくれないと自分の会社に頂ける申請物件が少なくなるからそれ以上の指導はしたくない。”との回答でした。

ようするに、問題が生じた時に被害を受けるお施主様のことは考えていないのです。

他の民間確認申請機関の方の中には、良くチェックしてくれる方もおられるのですがとても残念な事です。
プレカット会社の方と話をすると、“プレカットの仕口加工形状図を外部に出したくないと思っているのかな”という空気を感じることが多いのですが、お願いすれば頂けない訳ではありませんので、構造設計者が安全な経済設計を行うには必ず必要だと思います。

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